今の増加ペースだと「海の日」に感染者数が日本人口に到達
はじめに
記事を投稿する前日(2020/4/9)も1日の感染者数が最多になりました。増加が止まらず戦々恐々とする日々です。この記事をご覧になっている方を含めて、恐らくほとんどの方が危機意識を持っているのだと思います。一方で、今日も満員電車が走っており、電車通勤を卒業した私からするととても異常に感じます。きっと危機意識が低い人がまだまだいるか、満員電車はみんな喋らないから大丈夫とか思っているのかもしれません。私は都市の満員電車が走っている限りは感染拡大は止まらないと思っています。
皆さん、様々な形で新型コロナウイルス(COVID-19)と向き合っていると思います。私の場合、医療関係の資格も無ければ、生活必需品を製造したり販売したりしている訳でもありませんが、前職は技術コンサルタントをしており、データ分析やシミュレーションでご飯を食べてきました。そのスキルを活かす、と言うほどのものではありませんが、私なりの得意分野でコロナ対策の役に立てたら思いと本稿を書きました。
今回のテーマ
少し、前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「今の増加ペースで予測される未来の感染者数」です。最初の画像でほとんど全てなのですが、なるべく分かりやすく説明したいと思います。また、グラフをつくったエクセルファイルも文末に置きますので自由にお使い下さい。
それではグラフの解説をします。
グラフの見方
元のデータ
日経新聞の新型コロナウイルス感染世界マップ から拾ってきています。
各国で検査対象基準や検査精度が異なり、足並みは揃っていませんが、今回はその一切合切に目をつむって、グラフを作成しています
また、最近の2,3日のデータは後から更新されることがあるため、その都度数字を更新しています
日本の感染者・死亡者
クルーズ船はカウントしていません。
凡例(実データ)
赤マーカー : 世界の感染者 黄マーカー : 世界の死亡者 緑マーカー : 日本の感染者 青マーカー : 日本の死亡者
凡例(推定値)
赤点線 : 世界の感染者 黄点線 : 世界の死亡者 緑点線 : 日本の感染者 青点線 : 日本の死亡者 3/26~4/8までの最近2週間の実データから推定しています(線形近似)
横軸
日付です。数字上では1日1増加する整数のようです。
縦軸
対数で表しています。目盛が上がる毎に10倍になります。指数関数的に増えている場合は対数グラフにすると線が直線になります。
なぜ対数グラフなのか
対数グラフに慣れている方には説明不要ですが、慣れていない方向けに簡単に説明します。
仮に感染者が毎日同じだけ増えている場合は下のような式になります。
感染者数 = 増加 × 日付 式1
この場合は通常のグラフで線が直線になります。 しかし、今回の感染ペースは指数関数的に増えています。これは今回が特殊なのでは無く、対策などの効果が表れるまではこうなる方が一般的です。そして、その場合は下のような式になります。
感染者 = 10^(増加×日付) 式2
10^(**)はかっこの中が1なら10=10^(1),2なら100=10^(2)となる事を意味しています。この場合は通常のグラフでは線が直線にならず、その増加ペースがよく分かりません。そこで対数グラフです。対数グラフでは先ほどの式2が下のようになります。
対数感染者 = 増加×日付 式3
これは指数関数的に増えている場合は線が直線になることを表してします。 そして、これが地味に重要なのですが、こうすることで指数関数的に増加している現象に対してエクセルの線形近似を使って、この先を予測をすることができます。今回は3/26~4/8までの2週間の期間のデータから線形近似を行っています。
グラフから読み取れる事
次に、これら踏まえて、このグラフから分かることを説明します。グラフが上の方にいってしまったので、もう一度表示します。
ここからはグラフから読み取れることを書いていきます。各国々を個別に見た場合や、日本の医療現場に携わる人の意見とは異なるかもしれませんが、あくまで、グラフから読み取った場合の意見と思って読んで下さい。
感染者数の予測
いずれどこかでピークアウトすると思っている(願っている)ので、この予測通りにいかないと思っています。ですが、1週間前にこのグラフを作り始めてから今日までの間、あまりに予測通りに感染者が増加しているので、恐ろしく感じながらもこのペースで増加した場合、どのくらいで日本全員が感染するのか先を見てみることにしました。 その結果が
「 7/20 海の日 」
約100日後にみんながコロナに感染する計算になりました。世界の方に目を向けると、世界でも「海の日」辺りでもれなく感染することが分かりました。
致死率について
致死率は感染者と死者のグラフ上の距離から算出することができます。1目盛分離れていれば致死率は10%で、2目盛離れていれば1%です。また、致死率の数字を具体的に出すことは難しいですが、致死率の変動は簡単に知ることができます。
例えば、世界の感染者の推定値(赤点線)より世界の死者の推定値(黄点線)の傾きが大きい事が分かります。これは日々致死率が上昇していることを意味しています。つまり、世界的には医療崩壊が進んでいます。
では日本はというと、死者の推定値(青)の方が傾きが小さいので、まだ医療崩壊が起きていないようです。世界とは逆に推定値の上では致死率は低くなっています。ハッキリとした理由は分かりませんが、3/20~3/30までに急激に感染者が増加した影響かもしれません。いずれの理由にしても、ワクチンや特効薬ができない限りは時期に感染者と同じ傾きか、それ以上になると考えています。
日本の増加ペースについて
今回のグラフで私が一番注目したのが実はこれです。世界の感染者の推定(赤点線)と日本(緑点線)を見比べて下さい。日本の方が傾きが大きい事が分かります。欧米比べて感染者が少なくて、なぜ日本は感染者が少ないのか注目されたりしていた時期がありました。3月中旬の増加ペースであれば今でも誇って良かったかもしれません。ですが、今は違います。本当のロックダウンを実行した世界よりも今日も満員電車が走る日本の方が増加ペースが上回っているのです。世界の国々で感染が急拡大して、その世界から日本に警鐘を鳴らしてもらっているのに、です。欧米の惨状を対岸の火事と感じている人はすぐそこまで火が来ていることに気づいて欲しいです。
まとめ
- コロナ感染の増加は指数関数的なので対数グラフで見ると分かりやすい。
- 今の増加ペースだと「海の日」で日本全員が感染する。
- 世界では医療崩壊が進んでいるが、日本はまだ医療崩壊が起きていない。
- ここ最近は世界よりも日本の増加ペースの方が大きい、絶対数が少ないからと言って油断してはいけない。
エクセルファイルについて
今回のグラフをつくったエクセルファイルをここに置いておきますので自由にお使い下さい。
注意点
- SNSなどで公開するときは元データを明示して下さい。
- 有償では無いのでノークレームでお願いいたします。
- 不明な点はお答えいたしますが、少し調べたら分かること、エクセルの基本的な使い方での質問はご遠慮下さい。